自動売買でドテンを繰り返す売買はダメな理由

自動売買の基礎的な知識の上で皆さんに役に立ちそうなので、メールで相談いただいた件をBlogでもシェアいたします。

✔相談内容

他で購入した自動売買システムを使っていてドンドン資金が減ってしまっているのですが、原因は何だと思いますか?

ご相談者さんの自動売買ではドテンを繰り返す(売る→買う→売る→買う・・・・)取引をするものでした。たまたまLAST15についての記事にマーケットコストについて記載したばかりでしたのでそれをご紹介しました。

(特に)自動売買でドテンを繰り返す取引をさせたらほぼ確実に資金はドンドンどんどん減っていきます。

一体なぜなのでしょうか?

デイトレードではスタート時点からハンディがある(勝ちと負けはイーブンではない)

マーケットに参加するためには証券会社に手数料というコストを支払う必要がありますが、それ以上にデイトレードで大きなコストはスリッページです。

スリッページとは

日経225Miniなどの株価指数は取引所を介して売り手と買い手の売買が成立します。注文方法には「指値」や「成行(FAK)」などがありますが、今この瞬間に買いたい場合には下図の場面では板の出会いの不利な価格でしか約定できません(又は指値で約定を待つか)。

日経225Miniの板

現在価格は26400円ですが、買えるのは26405円です。

5円の差があると500円の損益の差になります。更に値動きの激しい場面では10円、15円といった大きなスリッページになることも少なくありません。

更に更に、出来高が少ない銘柄(夜間のMOTHERSなど)では遥かに大きなスリッページにもなってしまいます。

日経225Miniなどの流動性の十分な銘柄でも、暴落時などには100円幅以上の大きなスリッページになることもあります。

証券会社の取引手数料は日経225Mini1枚で88円ほどですが、スリッページは500円以上になってしまいます。

取引には「売る」「買う」の2つしかありませんので、勝率は50%です。しかし、デイトレーダーにとってはスリッページという大きなコストがあるために「勝ち」と「負け」はイーブンではないのです。

「勝ち」<「負け」という状態からのスタートなのです。

ドテンを繰り返す自動売買は何故ダメなのか?

下記例は昨日の相談者さんのではなく、しばらく前にあった相談ですが具体的なので参考にできるかと思います。

〔ストラテジーと相談内容〕

  • ご自身で熱心に研究され、検証を綿密にされておられました。
  • 取引対象は日経225Miniのデイトレード
  • 1分足でごく短期の移動平均線を2本使い、そのデッドクロス・ゴールデンクロスに従って売買する
  • 検証結果は月間2000円幅ほどになり、損益がマイナス月もない(検証上は確かにそうなる)
  • 1セッションの取引回数はデイセッションで20回ほど、ナイトセッションで40回ほど平均で1セッション30回ほどの取引回数

上記をプログラマーに依頼し自動売買システムを制作してもらったが、とんでもないマイナスにしかならかい。あまりにも大きなマイナスで納得できないので、出来上がったプログラミングがおかしいのではないか見てほしいというものでした。

確かに検証上は1分足などでごく短期の2本の移動平均線のクロスの通り売買できれば凄まじいプラス収益になります。

しかし、自動売買システムでこの通りに動作させるには執行条件をこうしなければ動きません

●新規注文:成行(FAK)(指値だと約定せず置いて行かれることが多い)

●利益確定:指値注文

●ロスカット:成行(FAK)

利益確定では発生しないので、スリッページの確率を33%とした場合に1日平均30回の取引では売りと買いで下記のスリッページが発生します

●1セッションのスリッページ幅:30回(1セッション取引回数)×2回(新規と返済)×33%×5円(スリッページの幅)≒100円

●月間のスリッページ幅:100円(1セッションのスリッページ)×2回(デイ・ナイトセッション)×20日(営業日)=4000円幅

つまり、そのご相談者さんが大金を支払ってプログラマーに依頼して出来上がったものは理論上は+2000円幅(月間利益)でしたが、実際の動作ではスリッページが-4000円幅にもなり‐2000円幅(=Mini1枚で20万円)のマイナスしか生まない自動売買システムだったのです。

まとめ

スリッページとは何であるかを知っている方でも、自動売買においてそれがどの程度の影響を持つのかまでは深く考えませんが、なんとなく理解できれば十分です。

まとめ

  • 我々には「スリッページ」や「取引手数料」といったマーケットコストが生じる
  • デイトレードでは特にスリッページのウェイトが大きい
  • 自動売買システムでドテンを繰り返す(売る→買う→売る→買う・・・・)とスリッページが莫大になる
  • 細かく売買しようとするほどスリッページは発生しやすい(若しくはストラテジー通りの売買はできない)
  • よって理論上プラスになりそうでも実際にはマイナスになってしまう
  • セッションで1回だけの取引回数でプラス収益を期待できるストラテジーが無難

以上ですが、参考になさってください!

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